体調が悪いのに、血液検査で「異常なし」が出る理由

みなさんも体調不良になった時に、一度は血液検査をしたことがあると思いますが、結果はどうでしたが? 多分、「異常なし」と言われて安心した方が多いのではないでしょうか。

でも、ちょっと考えてみてください。定期検診ならまだしも、どこか具合が悪くて検査に行って「異常なし」というのは、不調の原因が分からなかったことにほかなりません。残念なことですが、病院ではこのようなことがよく起こります。慢性疾患の初期段階などでは特にそうですし、未病となると、もう発見してもらえる確率は皆無と言っていいでしょう。どうして、このようなことになるのでしょうか。

日本には国民皆保険制度というすばらしい制度があるため、病気になると保険で安く治療を受けることができます。米国では、無保険のため病気になっても治療を受けることができない人が少なくありません。誰でも医療にアクセスできるという点では優れた制度だと言えますが、問題点がいくつかあります。

まず、保険診療ですので、いろいろな制約があります。検査に関しては、「この検査はこういう疾患にのみ認められる」という細かな規則があります。ですから、保険で認められていない項目を検査すると査定されます。保険の審査で査定されると、医療機関は検査代金を保険者から支払ってもらえず損をするので、適用外の項目を検査しません。

つまり、保険適用内での検査は、「治療のため」というのが前提であり、「発見のため」の検査は保険適用外ということになってしまうのです。検診や人間ドックで保険が利かないのはこのためです。

また、「混合診療禁止」という決まりがあるので、保険診療と自費診療を同時に行なえません。万一同時に行なった場合は、たとえ自費診療部分がほんのわずかであっても、初診にさかのぼって保険が一切利かなくなります。すると患者は高額の医療費を支払うことになるので、保険の規則から外れる検査は医師も行なわないのが通常です。

だから、体調が悪くて病院へ行っても、よほどの症状がない限りは詳しい検査をしてもらえず、「異常なし」と言われて途方にくれてしまうことがあるのです。

自営業の方や職場で検診の機会がない方は市区町村などで、それ以外の方は職場で定期的に健康診断を受けていると思います。企業については労働安全衛生法という法律があり、事業主は社員に対して定期健康診断を実施しなければならない義務があるのです。したがって健康診断の際は、一般的に所定のルートに乗って受けることになります。

市区町村では若干のオプション検査を希望できるところもあるようですが、ほとんどの企業では法律で決められた最低限の項目しか実施していないのが実情です。殊に最近の経済情勢に鑑みれば、実施する側は健康診断にはあまりコストをかけたくないというのが本音でしょう。

その健康診断の血液検査の項目内容は、血色素量(ヘモグロビン)、赤血球数、GOT、GPT、γーGTP、中性脂肪、HDLコレステワール、LDLコレステロール、空腹時血糖だけです。分子整合栄養医学的な検査項目と比較すると、約5分1のしかない、まことにお祖末な項目数です。これでは、未病や慢性疾患の原因を突き止めるどころか、発見すらできません。

こうした自治体や企業が実施する健康診断とは別に、個人的にお金を払ってより詳しい検査をするという選択肢も考えられますが、病院ではたとえ詳しい検査をしてもらったとしても、かかる費用に見合うだけの、納得のいく診断を得るのはなかなか難しいようです。実際、大学病院などで膠原病や骨髄の詳しい検査をしたものの、診断がつかずに、「うちでは対処できません」と言われた人が少なくありません。